何年も人の店で切ってきて、自分の店を持とうと決めるバーバーは少なくありません。腕はある。「いつ自分の店を出すの?」と聞いてくれるお客さんもいる。稼いだ分を自分のものにしたい気持ちもある。でも、ドアを開ける前に何を決めておくべきか、そのリストを持っている人はほとんどいません。
このチェックリストでは、開業までの道のりをステップごとに整理します。開業資金の金額は載せていません。地域によっても計画によっても違いすぎるからです。シェアサロンの1席と、4席にバーカウンター付きの店では、まったく別の事業です。目的は、数字をまねることではなく、何を見積もるべきかを知ることです。
ステップ1:どんな店にするかを決める
物件を探す前に、3つの質問に答えましょう。
- 最初は何席でいくか。一人で1〜2席から始めれば、費用もリスクも抑えられます。広げるのはあとからでもできます。
- どんなお客さん向けか。手早いカットと手ごろな料金か、シェービングやドリンク付きで一人に時間をかける体験型か。これで立地も内装も料金も決まります。
- 自分も切るのか、経営に専念するのか。オーナー自身が切れば初日から売上が立ちますが、経営に使える時間は減ります。両方を計画に入れましょう。
答えを紙に書いておきましょう。どんな店をつくるのかがはっきりしていれば、この先の判断がすべて楽になります。
ステップ2:物件選び
物件は、あとからいちばんやり直しにくい決断です。じっくり見極めましょう。
- 人の流れと周辺の客層。時間帯を変えて、夜や土曜日にも現地を見に行きましょう。
- 近くの競合。同じ通りに理容室があるのは必ずしも悪いことではありません。ただ、お客さんがあなたの店を選ぶはっきりした理由が必要です。
- 設備面。シャンプー台を置く位置の給排水、バリカンやエアコン、照明に耐える電気容量、トイレ。
- 駐車場とアクセス。停める場所がなければ、お客さんはあきらめます。
- 契約内容。期間、賃料の改定、内装工事中のフリーレント、どちらが何を負担するか。署名の前に読み込み、できれば信頼できる人にも見てもらいましょう。
- 営業してよい物件か。その場所で理容室を営業できるか、契約前に管理会社や自治体に確認しましょう。
ステップ3:最低限の設備
まずはきちんと施術するのに欠かせないものから。それ以外は、資金に余裕ができてからで十分です。
| 分類 | 必須のもの | 後回しでいいもの |
|---|---|---|
| 施術 | 理容椅子、鏡、カウンター、シャンプー台 | 2台目の椅子、こだわりの待合椅子 |
| 道具 | カット用・仕上げ用バリカン、ハサミ、レザー、コーム、霧吹き | 複数メーカーの予備バリカン |
| 衛生 | 消毒器、使い捨て替刃、タオル、クロス、消毒用アルコール | ロゴ入りタオル |
| 商材 | ワックス、シャンプー、シェービング・仕上げ用品 | 店販用のフルラインナップ |
| 店舗 | 明るい照明、エアコンや換気、簡単な受付 | バーカウンター、テレビ、テーマ性のある内装 |
| 管理 | カード決済端末、予約システム | セルフ受付端末 |
高額なものは最低3社から見積もりを取りましょう。状態のいい中古品は内装や家具には検討してもいいですが、衛生用品には使わないこと。
ステップ4:開業の手続き
手続きをきちんと済ませた店は、事業用口座を持て、決済サービスも契約しやすくなり、スタッフも安心して雇えます。大まかな流れは次のとおりです。
- 事業の形を決める。個人事業で始めるか、法人にするか。見込みの売上や一緒に働く人数で向き不向きが変わります。どの形が合うかは税理士に確認しましょう。
- 税務関係の届け出を済ませる。
- 営業に必要な許可・届け出。保健所への届け出や検査など、必要な手続きと順番は自治体によって異なるので、物件を決める段階で早めに問い合わせましょう。
- 事業用の銀行口座を作り、店のお金と自分のお金を分ける。
- スタッフとの契約。人を入れるなら、歩合や働き方のルールを書面で決める。
最初にいい税理士を見つけておくと、頭痛の種が減り、税金で得をすることも少なくありません。
ステップ5:最初の料金設定
開業する人がよくやる失敗は、近所の店の料金をまねるか、客を呼ぶために安くすることです。逆の順番で考えましょう。
- 毎月の固定費を合計する:家賃、電気、水道、ネット、税理士、システム、自分の給料。
- 月に何人施術できるかを見積もる。最初の数か月の稼働率は控えめに。
- 固定費を施術数で割り、1回あたりいくらで赤字にならないかを出し、そこに1回分の商材費を足す。
- 周りの相場と比べ、提供する体験に合わせて料金を位置づける。
安すぎる料金は、あとからお客さんを失わずに上げるのが難しいものです。最初から適正な料金で始め、期間を決めたオープン記念の特典を付けるほうがおすすめです。
メニューは絞り込む
最初は少ないほうがうまくいきます。カット、シェービング、カット+シェービング、顔そり・襟足の仕上げ、それに追加メニューが1〜2つあれば十分。メニューを増やすたびに、在庫も練習も予約枠も必要になります。得意なものから始め、お客さんの声に合わせて足していきましょう。
初日からの経営ルーティン
好調に始まったのに、経営の細かい部分で迷子になる新しい店は少なくありません。開店時から、簡単なルーティンを決めておきましょう。
- お金を分ける。自分の給料を定額で決め、残りは店の口座に。混ぜてしまうと、店が黒字かどうかもわからなくなります。
- すべての施術を記録する。メニュー、金額、支払い方法、担当者。これがないと、何が売れているのかも、歩合をいくら払うべきかもわかりません。
- 毎日レジを締める。数分で終わり、月末に慌てずに済みます。
- 予約の埋まり具合を見る。どの曜日・時間が空いているかがわかれば、キャンペーンやシフトを考えやすくなります。
- 衛生管理は決まった手順で。消毒、替刃の交換、お客さんごとのカウンター清掃は、思い出したときにやるものではありません。
ルーティンは面倒に見えますが、2人目、3人目のスタッフが入っても管理が崩れないのは、これがあるからです。
ステップ6:最初のお客さん
ドアを開けただけでは、お客さんは来ません。オープン前から迎える準備をしましょう。
- 今のお客さんに知らせる。ただし、いま働いている店への礼儀は忘れずに。
- Googleビジネスプロフィールを作る。住所、営業時間、写真、電話番号。「近くの理容室」と検索する人の多くがここを見ます。
- オープン前にインスタを始める。内装工事、届いた機材、最初のカットを見せましょう。
- 初日からネット予約を用意する。バリカンを握ったままLINEや電話に応える必要がなく、お客さんはいつでも予約できます。
- 口コミをお願いする。満足してくれた最初のお客さんに。最初の口コミはとても大きな意味を持ちます。
予約まわりはBarbaSyncで手軽に整えられます。店専用の予約リンク、自動リマインダー、無断キャンセルを減らす予約金、そしてスタッフが増えたときの歩合管理。料金は月額1,500円から、7日間無料・カード登録なしで試せます。
オープン前の最終チェックリスト
- 店のタイプとターゲットが決まっている。
- 物件が決まり、契約済みで、その場所で営業できることを確認した。
- 内装工事が終わり、電気・水回り・照明の動作を確認した。
- 必須の設備を購入し、試運転した。
- 開業の手続きと必要な許可・届け出が済み、事業用口座を開設した。
- 料金表を計算し、印刷した。
- Googleのプロフィール、インスタ、予約リンクが動いている。
- 動きが鈍くなりがちな最初の数か月分の運転資金を確保した。
店を開けるのは簡単な部分です。続けられるかどうかは、よく選んだ物件と、経費をまかなえる料金と、毎月戻ってきてくれるお客さんにかかっています。